読書『成り上がり How to be BIG』

成りあがり How to be BIG―矢沢永吉激論集 (角川文庫)

矢沢永吉の『成り上がり How to be BIG』を読みました。

成りあがり How to be BIG―矢沢永吉激論集 (角川文庫)

成りあがり How to be BIG―矢沢永吉激論集 (角川文庫)

矢沢永吉は両親がおらず祖母に育てられた。

高校卒業後、現金5万円だけを持って広島から上京し音楽活動を開始。

それまでの音楽業界の常識や慣行を覆した。

ロックを日本に根付かせた先駆者でもある。

名実ともにスーパースター。

自分の専門領域をまず大事にすればいい。すればいいっていうより、命を賭けなきゃいかん。


東大以下の大学なら行かないほうが良いね。必要ないし、保証無いもの。もし、この社会に大学行った人はどうにかしてくれるって制度があるなら、俺は行くよ。借金してでも。


そうだ。こんなふうに苦しいんだよな、最初のうちは。こういうことがあって、いろいろやって、最後にスーパースターになるんだよ。


人間て、食べること寝ることの辛さより、暗い明日のことを想像するつらさのほうが、大きいと思うんだ。


だけど、夢は捨ててなかった。暗さの向こうに、小さいけどぴかっと光るものがあった。スーパースター。だから筋通せたのかもしれない。それに、俺、負い目が合ったら本気で攻撃できないと思ってた。逃げたら、放り出したら負い目になる。本能的にそう考えてたみたいだ。


天才じゃ。天才が俺のそばに来て、俺の夢を全部理解してくれてる。「やれる」。


現実問題としては、プロの壁というのは、えらく厚かった。プロというのは、違うんだ。今、言えることだけど、あん時には、気持ちだけでも前、前、と走らせてなきゃ、なんにもやれなかっただろうな。


人間は、ある程度キツイ目にあわなきゃいかんのよ。萎縮しちゃうやつもいるけど、バイタリティになる。なにくそ、冗談じゃない。そう思えるだけ、俺は幸せだったかもしれないね。


確かに、みんなも頑張ってた。でも、頑張る目的として、ほんとにビッグになりたいと思ってやってたのは俺ぐらいだったんじゃないかな。へたしたら、他のメンバーは「オレたちは働かされてる」という感覚が強かったんじゃないかな。


オレ、今でもあの時の悔しさ忘れない。最後、全部オーケーになった時、オレ、彼らに何をしたら知ってる?頭を下げた。 「どうもありがとう」ほんとうに、メンバー、どうもありがとう」 その時、オレは何を誓ったか、言おうか。絶対、こいつら許さないと思った。彼らを許さないとしたら、どうすればいいか。 オレが、とんでもないスーパースターになることだ。


自分がなんでメシ食ってるかってことを知ってるもの。他の方は手を抜くよ。ゴルフ。なんでオレが行かなきゃならんの。いらない。行きたかったら暇の時にいけばいい。


オレは、怖さを知ってる。安心が欲しい。 安心してるためには、行動して裏付けを取ること。何回も言ってるけど、これがオレのやり方なんだよ。

詐欺に遭ってしまいました

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こんにちは、シュン(@shunsukehondo)です

3年前。

初めてマニラに赴任して間もないころ。

BGC(Bonifacio Global City)のコンド(日本でいうタワーマンション)に住んでいました。

ちょっと遠くへ冒険してみようとイントラムロスに行きました。

歴史感のあるエリアです。

東京で例えるなら渋谷から浅草に向かう感じです(?)

タクシードライバーへ伝えるのが楽なので、ショッピングモール「ロビンソンズ・プレイス・マニラ」へ。

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到着して大学前らしき素敵な並木道を抜けて交差点で信号待ちをしていました。

後ろから

「旅行者ですか?」

と声をかけられる。

振り返ると同じく旅行者らしき30代くらいの男性が立っている。

メキシコ人っぽい顔立ち。

身長は165cmくらい。

「日本人ですか?」

と聞くので

「そうです」

と答えると

「あーよかった。フィリピンの人は冷たいから。日本人は親切で優しいですよね。」

そう言ってもらえるとうれしい。

「今困っているんです。助けてもらえませんか?」

と彼。

「どうしました?」

と聞くと、現金も荷物もすべて盗まれて丸裸なんだと。

パスポートは空港に預けてある荷物に入っている。

そして今日の夕方にオーストラリアへ帰るフライトがあるからそれに乗りたいと。

要は空港までのタクシー代と飛行機チケットを買うお金を貸して欲しいらしい。

オーストラリア人か。可哀想に。

うーん。別にそれくらいなら貸してもいいけど...。

行く宛もなく歩きながら話を聞いていたので疲れた。

俺はまだ朝食をとっていなかったし。

「詳しい話を聞かせて。カフェに行きましょう。」

さっきのロビンソンズ・プレイス・マニラに戻って、適当なカフェに入る。

「何か食べますか?」

と聞くと、

「いいえ私は大丈夫です。ただ、冷たい水を下さい。朝から何も飲み食い出来てなくて喉がからからなんです。」

ほほう。別に俺にたかろうとしているわけではないのかな?

俺はサンドイッチ、彼は水だけ。

サーブを待っている間、どうしたらこの人を信頼できるか考えた。

オーストラリアの領事館とかまず行ったほうがいいんじゃないか?

連絡先だけでも聞いておけば大丈夫か?

今の時代Facebookもあるし、逃げられないだろう。

本当に返済能力があるのか確かめるために、

「お兄さん仕事は?」

「会計士です。」

ふむ。問題なさそうだ。

「フィリピンに何しに来たの?」

「2週間の休暇でスキューバーダイビングに来たんだ。」

「荷物は?」

「全部空港に預けてある。」

うん。まあありそうな話だ。

「こういう時ってオーストラリア領事館が助けてくれるでしょ?行ってみた?」

「今日は日曜日でやってないんだ。それにパスポートもないし。フライトは今日の夕方でもう時間がない。」

それもそうかもね。もう面倒くさくなってきた。

「俺は貸してもいいと思ってるんだけど、どうしたらあなたを信用できる?」

「私を見て下さい。信用してもらうしかないです。」

「国についたらすぐに連絡します。振り込みます。」

もういいでしょう。フライトの時間が迫ってるし。そろそろ空港に移動しないと。

「メールとSkype教えて。」

持っていたガイドブックとペンを渡して書いてもらいました。

  • 名前: John Rosh
  • メール: johnrosh999@gmail.com
  • Skype: johnR42
  • 電話番号: +61423614169

これだけ抑えれば十分追跡できるな。

「ありがとう。じゃあ空港に行こうか。タクシーに乗せていくよ。」

ニノイ・アキノ国際空港に到着。

そこでJohn、

「航空券を買うために30000ペソくらい貸して欲しい。」

当時の日本円で7万5000円くらい。

ちょっと高いけど、せっかく空港まで連れてきたんだし。

フライトまでの時間がもう迫っている。

第一連絡先は押さえてあるんだ。

あまり深く考えずに空港の道路を挟んで向かいにあるATMに一緒に向かった。

日曜だから窓口は休みだ。

クレジットカードを入れる。

システム上、30000ペソを一気に引き出すことはできなかったので数回に分けることにした。

まずは15000ペソ。

現金を受け取る。

しばらく待ってもカードが出てこない。

取引が終わって待機画面に変わった。

カードが飲み込まれたらしい...。

最悪だ。

カードはそれしかなかった。

フライトの時間が迫っていたので、Johnに15000ペソだけ渡し、

「時間が迫っているからこれを持って行ってくれ。ここは俺がなんとかする。残りのお金は自分で調達してくれ。国に着いたら連絡してね。」

「大丈夫か?本当にありがとう。じゃあまた連絡する。」

Johnはそう言って空港に行った。

俺はそれから15分くらいATMを調べたが、どうすることも出来なかった。

半泣きだった。

現金を引き出す手段がそのカードしかなかった。

月曜日になって窓口が開かないとどうしようもない。

タクシーに乗ってその場を去った。

カードは翌日窓口で返してもらえました。

1週間たってメールとSkypeを送ってみた。

アカウントは見つかった。

「やあ、John。お金はいつ返す予定?」

何の音沙汰もなく1ヶ月が過ぎた。

持っている情報で、個人を特定しようと思った。

John Roshなんてありふれた名前でFacebookには候補がありすぎた。

これ以上どうしようもなかった。

名前、電話番号、メール、Skypeなんて地球から個人を特定するためには何の役にも立たない。

もう待っていないけど、未だに連絡はない。


Johnが嘘を付いていたとは思いたくなかったので、この件は結論を付けず自分の中で封印しておきました。

今やっと自分の中で整理がついてどうでもいいエピソードの1つに出来たんです。

失ったお金はどうでも良いけど、信じた人に裏切られることは本当にキツイ。

今思えば旅行者感丸出しの俺は良いカモだったでしょう。

詐欺師のイメージといえば、「パリッとしたスーツを着ている」か「いかにもワルか」どちらかだと思っていました。

Johnはただの困っている旅行者という感じでした。

海外生活は長いですが、同じような経験はまだしていません。

俺はちょっと面白そうなことがあると首を突っ込まずにはいられない性格です。

怪しいと思って無視してしまったら物語もそこで終わってしまいますからね。

次同じようなことがあっても同じようにカフェで話を聞き空港まで着いていくと思います。

ただし、どんなに困っていても信じてお金を貸すことは無いでしょう。

そうではなく、

信じずにお金をあげます。

面白そうな場合だけですけどね。


誤解の無いように言っておきますが、フィリピンはとても良いところでフィリピン人もとても良い人たちです。

大好きです。

今回はたまたま舞台がマニラだったというだけです。

フィリピンの情報は↓で更新しています。

philippines.hateblo.jp

それではまた♫

会社員としての3年間で得たものと失ったもの

こんにちは、シュン(@shunsukehondo)です

去年末に会社員を辞めました。

新卒で入った東証一部上場企業でした。

そもそも会社で働く気なんて全くなかった。

3年で辞めようと入社前から決めていました。

就職した理由

就職した1社しか面接に行きませんでした。

それでダメならそもそも会社員は向いてないから仕方がないと。

選んだ基準は「ITプロジェクト」「大企業」。

就職した理由は主に3つ

  1. お金を貰いながらITの勉強をすること
  2. 大企業の組織を内部から学ぶこと
  3. 会社員のメンタリティを学ぶこと

独立して自分で世界に通用するサービスを作るための足がかりとしてでした。

ITの可能性に気がつくのが遅過ぎました。

それでも絶対にこれからの時代ITの知識は避けて通れない。

今後さらにその必要性は増していきます。

自分でシステムを組む能力が最低限のリテラシーとなるでしょう。

当時はそう読みましたし、今でもその思いは変わりません。

独りで今から勉強するよりは現場で学んで方が速いし、実践的な知識が得られると考えました。

そして就職するなら大企業。

スタートアップには参考にすべき完成された組織がまだ無い。

それに、後からでも見たければ時間は十分あると踏みました。

いつでも人手が足りないだろうから。

大企業は違う。

実力だけではダメで、有名大学を出ていないとそもそも採用されなかったりする。

未経験なら新卒だけ。

自分で組織を作っていく上で、大企業の洗練された組織を肌で感じることは大事だと。

そして社員はどういうことにやりがいを感じ、どういう時に組織を去ろうとするのだろうと。

そういうことを組織を起こす前に知っておきたかった。

会社員をして得たもの

あるサービスの立ち上げからリリースまで通して参加しました。

そのサービスは月商10億程度売り上げるものになりました。

実際に独立できるだけの知識と感覚は手に入ったので辞めました。

就職した理由に挙げたものはすべて手に入れました。

大企業の良い部分悪い部分。

楽しい部分汚い部分。

すべて体感できました。

会社員のメンタリティも。

彼らは本当に何をされても付いてきます。

これは驚くべきことです。

会社から「本名を改名しろ」と命令されたら、この人たちはするんだろうな。そう直感しました。

彼らは愚痴や文句は言いますが、会社にとってあまり危機ではありません。

なぜなら彼らは行動に出ないからです。

文句は言いつつ、残業も一所懸命にします。

メンタルだけ適当にケアしておけば大丈夫です。

観察していて徐々にそのことが分かりました。

ひどい話ですが、大企業とはそんなところです。

そして彼らが求めるのは、

  • 仕事が正当に評価されること
  • 他の社員の前で褒められること

この2つです。

会社員をして失ったもの

辞めた当初は

「色々学んだ3年間だったな」

と感じました。

しかししばらくすると気がつきました。

失っていたものも大きかった。

自分が勤めていたのは2014年から2017年の間の3年間です。

この3年間はちょうど日本でBitcoinが盛り上がった時期と重なります。

2013年くらいからBitcoinという名前とP2Pの決済システムであることぐらいは知っていました。

しかしそれ以上は興味を持って勉強する時間がありませんでした。

会社員というのは本当に時間と精神が吸い取られます。

もし2014年にsatoshi nakamotoによる論文を読み、Bitcoinを使ってみていたら、即座に会社を辞めて事業を起こしていたでしょう。

それぐらいのパラダイムシフトです。

時間が出来てから急いで勉強しました。

失ったものは

自分にとって本当に価値ある物をグググっと引き寄せる時間とパワーです。

本当に必要な物や人や情報の判断がつかなくなりました。

全てを薄っぺらく撫でているような感じ。

俺にとってはBitcoinというパラダイムシフトに乗り遅れたことでした。

そして自分がいかに家族のことを考えられていなかったかに愕然としました。

自分では大事にしていると思っていました。

奥さんに大きな負担をかけていたことに辞めてから気がつきました。

さいごに

今会社員として働いているみなさん。

100%自分の人生を楽しめているなら言うことなしです。

でもそうで無いなら、あなたが今失っていっているものは想像以上に大きいです。

夢やチャンスかもしれませんし、自身の健康や人間関係かもしれません。

一度ゆっくりと考えてみてください。

やってしまいました...。

こんにちは、シュン(@shunsukehondo)です

投稿がしばらく空きましたが、友人の結婚式とバカンスを兼ねて家族でフィリピンへ行っていました。

2月の岩手以来久しぶりの長期の旅行。

最高でした。1日も早く移住したい。

バカンスのことはまた後で書くとして...

帰国の前日、二度としないと決めたことをまたやってしまいました泣

結婚式の翌朝でした。

パーティで生春巻きが出てそれがとても美味でした♫

食事はいつもお手伝いさんが準備してくれます。

翌朝の朝食にもその生春巻きが出ていました。

「む。これは昨日の残りだよな...。大丈夫か?」

と思ったものの昨日あまりに美味しかったので口に入れました。

一口ですぐにわかる悪くなっている味でした。

そこで吐き出せば良かったのに

「胃の強さを確かめてやろう」

と妙な意地が出てきてすべて飲みこみました。

その夜はもう40℃近い熱と激しい腹痛と下痢、吐き気泣。

丸40時間ほど苦しみ続けました。

3年前にもフィリピンのスーパーのカットフルーツで食中毒になり、絶対怪しいなまものは食べないと誓っていたのに...!

その時は意識が朦朧とした状態が3日間ぐらい続きました。

今回は一口で止めたのでこの程度で済みました。

不幸中の幸い。

もう絶対しない。

みなさんもお気をつけを!

『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』読書案内

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

著者

ピーター・ティール

ピーター・アンドレアス・ティール(Peter Andreas Thiel、1967年10月11日 - )は、アメリカ合衆国の起業家、投資家。PayPal(ペイパル)の創業者。シリコンバレーで大きな影響力を持つ「ペイパル・マフィア」の中では、「ドン」と呼ばれている。アメリカのリバタリアンドナルド・トランプ支持者。

出典: Wikipedia

感想

引用の出典: ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

ビジネスに同じ瞬間は二度とない。次のビル・ゲイツがオペレーティング・システムを開発することはない。次のラリー・ペイジセルゲイ・ブリン検索エンジンを作ることもないはずだ。次のマーク・ザッカーバーグソーシャル・ネットワークをきずくこともないだろう。彼らをコピーしているようなら、君は彼らから何も学んでいないことになる。

しびれる!

これはこの本の最初の段落。

本書のタイトル「ゼロトゥーワン」を別の言葉で表現したものだろう。

日本のビジネスシーンを見てると、既存の成功例のコピーばかりで嫌になるよね。

未来がなぜ特別で大切なのかといえば、それが「まだ訪れていない」からではなく、その時に「世界が今と違う姿になっている」からだ。

彼の言う未来とは、単純に時間的に先のことではなく、今の世界と異なっていることに重点を置いている。

その異なる世界を想像し、創造しなければならない、と。

より良い世界を作ってきたのは、使命感で結ばれた一握りの人たちだった。

いいこと言うね。

大組織でつるまずに少人数で活動している俺みたいな人に勇気をくれる。

スタートアップとは、君が世界を変えられると、君自身が説得できた人たちの集まりだ

本当に言葉に力がある。

スタートアップの代表は励まされるだろう。

航空会社はお互いがライバルだけれど、グーグルにはそうした相手がいない。

彼は「競争するな」としきりに主張している。

相手がいないようなビジネスをしてしまえば利益率は高いぞ、と。

資本主義と競争は対極にある。

常識とは正反対のことを言っているようだけど、説得力がある。

稼ぐには資本の蓄積が欠かせないけど、競争が資本を細らせるからだ。

競争とはイデオロギーなのだ。

競争が良いことだと刷り込まれているだけだと。

日本の教育もそうだよね。

小学校でも年末の歌番組でもなぜか紅白に分かれて戦うよね。

ただ運動したり、歌ったりすればいいのにさ。

独占への近道は存在しない。

手厳しい。

つまり、最初から独占を狙ってビジネスを立ち上げることはほとんど不可能。

でも、立ち上げたビジネスについて常に独占でありうるビジネスかチェックすることは可能と言っている。

それが以下の4つの視点。

  1. プロプライエタリ・テクノロジー
  2. ネットワーク効果
  3. 規模の経済
  4. ブランド

まあこれがあれば苦労しないよね。。。

二番手よりも少なくとも10倍は優れていなければならない。

独占するためには、効率、使い勝手、デザインなどをライバルを10倍引き離す必要がある。

どんなスタートアップも非常に小さな市場から始めるべきだ。

リスクの最小化の意味でも。

僕達が住んでいるのは正規分布の世界じゃない。僕たちはべき乗則のもとに生きているのだ。

これは日常を生きているとついつい忘れてしまう事実だね。

部屋の壁にでも貼っておきたい。

簡単に言えば、ほんの少しの努力の差が結果では天と地の差になるということ。

人と人との競争でいえば、2位は撤退を余儀なくされるほど1位との差がある。

富士山の次に高い日本の山をほとんどの人が知らないでしょう?

努力で言えば、努力した分だけ成果が増えていくのが正規分布の世界。

でも現実は、8割の努力はたった2割の成果にしか繋がらない。

だから多くの人は8割に達する前に諦めてしまう。

でも8割の努力から成果が急に8割まで跳ね上がる瞬間が訪れる。

学校ではそれと反対のことを教えている。学校教育は画一的に一般教養を受け渡すだけだ。アメリカの教育制度を通過すると、べき乗則で考えることができなくなる。

学校で成績がいい優等生というのは自分というリソースをすべての科目に均等に振り分ける。

つまり、正規分布の世界では優れているが、べき乗則の世界ではほぼ底辺に近いということだ。

社会では全く価値がない知識であるはずだ。

「どうしていまだにみんな学ぶのか?」

それは国のお墨付きとして「資格」が与えられるからだ。

大卒資格や国家資格など。

国が滅んだらそれらの知識の価値は吹っ飛ぶだろう。

これが俺が新しい学校を作ろうといている理由の1つでもある。

つまり国家なんかに担保してもらわなくても価値のある教育だ。

社会では、何かに突き抜けていなければ価値はないんだ。

なぜ僕たちの社会は、知られざる真実なんて残っていないと思い込むようになったのだろう?

この問いはかなり重要だ。

今の日本人が感じている閉塞感の原因の1つでもあると思うからだ。

ITとインターネットの普及によって、調べれば一瞬で何でも分かってしまう(気がする)。

遠い存在だと思っていた有名人が実は同じような人間だったのだとわかる(気がする)。

そうして何でも分かったつもりになってしまって、行動する価値を感じなくなってしまう。

でも、実際は違う。

世界はこれまでの同じ速度で変化し続け、同じ速度で未知のものが暴かれていく。

いつの時代もそうだった。

多くの人は今のルールが絶対的だと思いこんでいて、過去が今と違ったことも未来が今と違うことも理解しない。

だから新しいものがはやると、古い価値観の人は「低俗な」コンテンツだという。

あの頃は良かったとか、俺達の若い頃は、とか言う。

世界は大きすぎて、ひとりの力では何もできないと感じてしまうのだ。

これは現代の無力感を感じている若者の多くを代弁しているだろう。

世界が繋がってみんなの活動が見えすぎて、自分よりももっと賢い人達が未来を変えてくれると思い込む。

自分はせいぜいフォローするしかできないと。

でも実際は違う。

世界を変えてきたのは賢い人ではなく、何かに没頭する人、人生でそれしかしないというくらいハマった人だった。

人々があまり語ろうとしないことは何か?禁忌やタブーはなんだろう?

これは彼が未来を想像する上での鍵としている質問だ。

CEOの給料が少なければ少ないほど、会社はうまくいく。

なるほど!

はっきり言われると気が引き締まる。

「俺が一番頑張ってるんだから一番もらって当然だろ」

というような空気感を出している人間には誰もついてこないだろう。

どうしても報酬が欲しい場合でも、スタートアップを運営したという経験そのものが後ほど大きな価値になることを思い出すべきだ。

周りのメンバーは必ずしもそうとは限らない。

だからメンバーのほうがむしろ金銭的な報酬は高くてもいいだろう。

企業にとって文化とは持つものじゃない。企業そのものが文化だ。

大衆の耳目を集めるような派手な福利厚生や奇抜なオフィスを批判しての言葉。

多くのスタートアップが企業文化の本質とはかけ離れたところで差別化したがるのは悪い傾向だ。

時間がいちばん大切な資産なのに、ずっと一緒にいたいと思えない人たちのためにそれを使うのはおかしい。

嫌な人と働くのは最も避けるべき事態だ。

これは人を採用をする基準に俺も使っている。

いい答えは大まかに二つに分類される。ひとつは君の会社の使命について、もうひとつはチームについてだ。

これは新しいメンバーを募集する時の売り文句についてだ。

  • 会社の使命に共感してくれる
  • メンバーと一緒に働きたいと思ってくれる

人でないとダメだと。

報酬や解決する社会問題が目当てのメンバーは合わない可能性が高いからダメだ。

スタートアップでは、中の全員がそれぞれまったく違う仕事で際立たなければならない。

これはスタートアップに限らず、これからの時代の小規模なチームでは当てはまるだろう。

シリコンバレーのおたくたちは、広告やマーケティングやセールスに懐疑的だ。というのも、それが薄っぺらで不合理に見えるからだ。

エンジニアとは得てしてこういう考えをもっている生き物だ。

頭のいい人と言われる人は少なからず思っているだろう。

でも商品や技術と同じくらいに、それらをどう見せるかどう売るかは重要なのだ。

最良のビジネスは見過ごされがちで、たいていは大勢の人が手放しで称賛するようなものじゃない。誰も解決しようと思わないような問題こそ、一番取り組む価値がある。

これはこれから個人として生きていく人にも当てはまる。

誰からも理解されず諦めようとしたその先に未来がある。

社会の理解と称賛が待っている。

単なる漸進主義を超えて会社を導くことのできる非凡な人物を、僕達は必要としている。

ありがたいお言葉。

今僕たちにできるのは、新しいものを生み出す一度限りの方法を見つけ、ただこれまでと違う未来ではなく、より良い未来をつくること ー つまりゼロから1を生み出すことだ。そのための第一歩は、自分の頭で考えることだ。

本書の最後の段落だ。

やはり最初と最後は文章に気合が入っている。

かっこいい!

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

『超一流の雑談力』読書案内

『超一流の雑談力』読書案内

読むべき? or スルー?

以下の人は一度読む価値あり。

  • 他人との会話について一度も学んだことがない人
  • ブログなどでの情報発信の仕方に悩んでいる人

それ以外の人はスルーでOK。この本オリジナルの内容は特に無い。

感想

本書を読む前に俺が想像していた「雑談」のイメージは本題に入る前のくだらない会話というものだった。

しかしそのイメージは180度変わった。

無意味に展開されるものではない。

「互いに信頼関係を築き始める」という目的のあるものだ。

既に気心知れた友人との他愛ない会話は確かに「雑」かもしれない。

一方で、この本がテーマとする初対面の人との"雑談"にはもっと違う言葉が必要だろう。

また、本書では雑談のための38のティップスが紹介されている。

それがブログを書くティップスにそのまま当てはまることに驚いた。

きっと初対面の人との会話はブログと似たような関係にあるんだろう。

引用

『超一流の雑談力』文響社 安田 正

雑談の中に目的を置くと、その方向に向かって相手のキーワードをうまく拾って会話を広げることができます


さわやかに「よろしくお願いします」と伝えることで、相手と話すことを許される状態をつくる。


「タテ」と「ヨコ」の意識がない人は、このように雑談のラリーが続きません


違うジャンルで常時5〜6個。ある程度古くなったエピソードは入れ替えていくように


自分が生活の中でがんばっていること、こだわっていることを褒められれば、誰だって嬉しい...そういうときに、「何か特別なことをされているんですか?」というフレーズは相手の欲求を刺激してくれます


「モノそのもの」ではなく「モノを持っている人」に話題をフォーカスできると、そこに込めた思いやストーリーなどが聞ける


雑談の中で「なぜ?」という質問は避けるようにしてください


丁寧に質問することに加え、自分の解釈や意見、あるいは関連しそうな情報を足してたずねることです。


その日に人と出会って会話をした直後、何を話したか記録をする。


最近あった出来事にちょっと盛ってみる練習を


仮に自分が正しそうな場面でも、「それはうかつでした!」と、相手の主張を飲み込むのが正しい対処情報


自分に興味がある人のことを人は嫌いになれない


思いが伝わる手みやげであることが大切です


雑談から本題への自然な移行。その最大のコツは「あくまでも雑談からヒントを得た体」で行うこと

超一流の雑談力

超一流の雑談力

『アフタービットコイン』読書案内

『アフタービットコイン』読書案内

読むべき? or スルー?

万人に勧められる本ではない。
しかし、以下の人は読むべき。

感想

※初めてこのブログの読書案内をご覧になる前にこちらをお読み下さい。

全体として著者の私見部分に関しては、現在の「通貨」パラダイムで仮想通貨を捉えてしまってる。そのため、「法定通貨vs仮想通貨」という不毛な論調に陥っている。さらに個別の論理を追っていくと、ビットコイン界隈の言説についてはデータを用いて丁寧に批判している。一方で、金融界隈での言説については感想レベルのものを主張の根拠としてしまう身内への甘さが散見されてうんざりする。

ビットコイン自体に寿命があろうと利用者が偏っていようとそんなことは想定内で、暗号通貨にとって重要ではないことが理解できていない。これがこの年代の著者の限界か。「公的」「本流」という言葉が多用・強調されているが、それらが相対化されるということが分からないか。

とはいえ、事実に関する記述では、知らない事実が多く得るものが多かった。ブロックチェーンと暗号技術に関しては専門でないのによく勉強されて説明も詳しい。そして、中央銀行による各国の動きなどはさすがに持っている情報量が多いと感じた。

引用

出典: 『アフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者』中島 真志 新潮社

ビットコインなどの仮想通貨が「私的なデジタル通貨」であるのに対して、中央銀行が発行しようとしているのは、公的な「中央銀行デジタル通貨」です。


金融の専門家たちの間で...評価が高まってきているのが「ブロックチェーン」です。


小口の受取りと支払いの両方を行っている「通貨ユーザー」のビットコイン保有数は全体の2%程度にすぎない


発行上限に達する「ラストデイ」を迎えると、...ビットコインの取引は承認されず、取引ができなくなってしまいます。...利用価値の低下したビットコインの価格は大幅に下落する可能性があります。さらには、...システムとして崩壊してしまう...恐れすらあると言える


今回の分裂劇で明らかになったように、実は技術面でも取引量の上限といったかなり基礎的なレベルでの問題を抱えており、...


世界各国において、ビットコインを始めとする仮想通貨に対しての規制が続々と導入されていることも、今後、ビットコイン普及の足かせになる可能性がある


すでに金融のメインストリームにある欧米の主要銀行などからは、まったく相手にされていない


ブロックチェーンは、何らかの電子的な資産の所有権を登録しておき、その所有権を安全かつ即時に移転させるのに適した仕組みです。


特に国際的な送金や証券決済(株式などの資産の移動)については期待度が高く、既に各国でいくつかの実証実験が行われています。


ここに来て金融業界では、「ブロックチェーンが主役になる」という認識が共有されつつあり


ビットコイン中心の世界」から「ブロックチェーンが主役の世界」へと移行


最近注目が高まっているのが「実用的ビザンチン・フォールト・トレランス」(PBFT)という合意形成の手法です。PBFTでは、「アプリノード」と「コアノード」の権限を区別します。


PBFTでは、迅速かつ確実な価値(資産など)の移転が可能となっている点がメリットです。


リナックスが進める「ハイパーレッジャー・ファブリック」


R3コンソーシアムが進める「コルダ」


合意形成の方法は、「有効性コンセンサス」と「一意性コンセンサス」という2つの方法によってなされます。


リップルが進める「インターレッジャー・プロトコル


プロックチェーンを実際の業務に導入するにあたって、その導入の仕方には、さまざまなバリエーションがあります。


世界で初めて、法定通貨の電子化を打ち出したのがシンガポールでした。


「ジャスパー・プロジェクト」と呼ばれる実証実験を行いました。


MASが主導する「ウビン・プロジェクト」


世界最古の中央銀行であるスウェーデン中央銀行では、2016年11月に、中央銀行が発行するデジタル通貨「eクローナ」を発行する計画を発表しました。


シニョレッジとは、通貨を発行したことによって中央銀行が得る利益のことです。


多くの中銀が競うように積極的な取組みを行っていることは、ブロックチェーンがいかに革命的で、実用性と信頼性の高い技術であるかを物語っている

アフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者

アフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者