詐欺に遭ってしまいました

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こんにちは、シュン(@shunsukehondo)です

3年前。

初めてマニラに赴任して間もないころ。

BGC(Bonifacio Global City)のコンド(日本でいうタワーマンション)に住んでいました。

ちょっと遠くへ冒険してみようとイントラムロスに行きました。

歴史感のあるエリアです。

東京で例えるなら渋谷から浅草に向かう感じです(?)

タクシードライバーへ伝えるのが楽なので、ショッピングモール「ロビンソンズ・プレイス・マニラ」へ。

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到着して大学前らしき素敵な並木道を抜けて交差点で信号待ちをしていました。

後ろから

「旅行者ですか?」

と声をかけられる。

振り返ると同じく旅行者らしき30代くらいの男性が立っている。

メキシコ人っぽい顔立ち。

身長は165cmくらい。

「日本人ですか?」

と聞くので

「そうです」

と答えると

「あーよかった。フィリピンの人は冷たいから。日本人は親切で優しいですよね。」

そう言ってもらえるとうれしい。

「今困っているんです。助けてもらえませんか?」

と彼。

「どうしました?」

と聞くと、現金も荷物もすべて盗まれて丸裸なんだと。

パスポートは空港に預けてある荷物に入っている。

そして今日の夕方にオーストラリアへ帰るフライトがあるからそれに乗りたいと。

要は空港までのタクシー代と飛行機チケットを買うお金を貸して欲しいらしい。

オーストラリア人か。可哀想に。

うーん。別にそれくらいなら貸してもいいけど...。

行く宛もなく歩きながら話を聞いていたので疲れた。

俺はまだ朝食をとっていなかったし。

「詳しい話を聞かせて。カフェに行きましょう。」

さっきのロビンソンズ・プレイス・マニラに戻って、適当なカフェに入る。

「何か食べますか?」

と聞くと、

「いいえ私は大丈夫です。ただ、冷たい水を下さい。朝から何も飲み食い出来てなくて喉がからからなんです。」

ほほう。別に俺にたかろうとしているわけではないのかな?

俺はサンドイッチ、彼は水だけ。

サーブを待っている間、どうしたらこの人を信頼できるか考えた。

オーストラリアの領事館とかまず行ったほうがいいんじゃないか?

連絡先だけでも聞いておけば大丈夫か?

今の時代Facebookもあるし、逃げられないだろう。

本当に返済能力があるのか確かめるために、

「お兄さん仕事は?」

「会計士です。」

ふむ。問題なさそうだ。

「フィリピンに何しに来たの?」

「2週間の休暇でスキューバーダイビングに来たんだ。」

「荷物は?」

「全部空港に預けてある。」

うん。まあありそうな話だ。

「こういう時ってオーストラリア領事館が助けてくれるでしょ?行ってみた?」

「今日は日曜日でやってないんだ。それにパスポートもないし。フライトは今日の夕方でもう時間がない。」

それもそうかもね。もう面倒くさくなってきた。

「俺は貸してもいいと思ってるんだけど、どうしたらあなたを信用できる?」

「私を見て下さい。信用してもらうしかないです。」

「国についたらすぐに連絡します。振り込みます。」

もういいでしょう。フライトの時間が迫ってるし。そろそろ空港に移動しないと。

「メールとSkype教えて。」

持っていたガイドブックとペンを渡して書いてもらいました。

  • 名前: John Rosh
  • メール: johnrosh999@gmail.com
  • Skype: johnR42
  • 電話番号: +61423614169

これだけ抑えれば十分追跡できるな。

「ありがとう。じゃあ空港に行こうか。タクシーに乗せていくよ。」

ニノイ・アキノ国際空港に到着。

そこでJohn、

「航空券を買うために30000ペソくらい貸して欲しい。」

当時の日本円で7万5000円くらい。

ちょっと高いけど、せっかく空港まで連れてきたんだし。

フライトまでの時間がもう迫っている。

第一連絡先は押さえてあるんだ。

あまり深く考えずに空港の道路を挟んで向かいにあるATMに一緒に向かった。

日曜だから窓口は休みだ。

クレジットカードを入れる。

システム上、30000ペソを一気に引き出すことはできなかったので数回に分けることにした。

まずは15000ペソ。

現金を受け取る。

しばらく待ってもカードが出てこない。

取引が終わって待機画面に変わった。

カードが飲み込まれたらしい...。

最悪だ。

カードはそれしかなかった。

フライトの時間が迫っていたので、Johnに15000ペソだけ渡し、

「時間が迫っているからこれを持って行ってくれ。ここは俺がなんとかする。残りのお金は自分で調達してくれ。国に着いたら連絡してね。」

「大丈夫か?本当にありがとう。じゃあまた連絡する。」

Johnはそう言って空港に行った。

俺はそれから15分くらいATMを調べたが、どうすることも出来なかった。

半泣きだった。

現金を引き出す手段がそのカードしかなかった。

月曜日になって窓口が開かないとどうしようもない。

タクシーに乗ってその場を去った。

カードは翌日窓口で返してもらえました。

1週間たってメールとSkypeを送ってみた。

アカウントは見つかった。

「やあ、John。お金はいつ返す予定?」

何の音沙汰もなく1ヶ月が過ぎた。

持っている情報で、個人を特定しようと思った。

John Roshなんてありふれた名前でFacebookには候補がありすぎた。

これ以上どうしようもなかった。

名前、電話番号、メール、Skypeなんて地球から個人を特定するためには何の役にも立たない。

もう待っていないけど、未だに連絡はない。


Johnが嘘を付いていたとは思いたくなかったので、この件は結論を付けず自分の中で封印しておきました。

今やっと自分の中で整理がついてどうでもいいエピソードの1つに出来たんです。

失ったお金はどうでも良いけど、信じた人に裏切られることは本当にキツイ。

今思えば旅行者感丸出しの俺は良いカモだったでしょう。

詐欺師のイメージといえば、「パリッとしたスーツを着ている」か「いかにもワルか」どちらかだと思っていました。

Johnはただの困っている旅行者という感じでした。

海外生活は長いですが、同じような経験はまだしていません。

俺はちょっと面白そうなことがあると首を突っ込まずにはいられない性格です。

怪しいと思って無視してしまったら物語もそこで終わってしまいますからね。

次同じようなことがあっても同じようにカフェで話を聞き空港まで着いていくと思います。

ただし、どんなに困っていても信じてお金を貸すことは無いでしょう。

そうではなく、

信じずにお金をあげます。

面白そうな場合だけですけどね。


誤解の無いように言っておきますが、フィリピンはとても良いところでフィリピン人もとても良い人たちです。

大好きです。

今回はたまたま舞台がマニラだったというだけです。

フィリピンの情報は↓で更新しています。

philippines.hateblo.jp

それではまた♫