『お金2.0』読書案内

『お金2.0』読書案内

読むべき? or スルー?

『お金2.0』は間違いなく全人類が読むべきだ。
特に「仮想通貨」や「ビットコイン」というものを名前しか知らず、漠然と怖いイメージを持っている人は絶対。
数年後には現在インターネットを使っていない人のようになってしまうだろう。

感想

※初めてこのブログの読書案内をご覧になる前にこちらをお読み下さい。

これを最初に読める日本語話者は恵まれている。近々他言語にも翻訳されるだろう。これほど的確に現状の社会の分析に成功している著作に出会ったことがない。

タイトルにはお金という言葉が入っている。しかし、内容は必ずしもお金の話が中心というわけではない。むしろ、生物、そして生物としての人間、さらに人間が織りなす経済という現象への考察がその中心だ。それらを1つの貫徹した視点で解き明かし、今後数十年間の変化を予測している。その洞察はサービス運営者にとどまらず誰でも今すぐに応用可能になっている。そしてこれから俺たちがどう生きるべきかの道が示されている。

引用

出典 『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』 佐藤航陽著

サービスがリアルタイムとは言わずとも、毎日・毎週・毎月変化する企画があることで、ユーザーは常にそのサービスのことが気になってくるようになり、何度も訪れてくれる可能性が高まります。


現実はおよそ3つの異なるベルトルが併存し、相互に影響を及ぼしており、それらが未来の方向性も決めている...「お金」「感情」「テクノロジー」の3つです。


中央銀行が本格的に普及したのはこの100年ほどです...仮想通貨やブロックチェーンなどの新しい仕組みが100年後に標準になっていたとしても、それほどおかしな話ではない


数億人の膨大な行動データとお金の流れを分析し、...仮説を立てては事業で試し、...全く違うように見えていた様々なサービスや市場や組織の根底には、普遍性のある構造が隠れているということがわかりました。


持続的かつ自動的に発展していくような「経済システム」にはどんな要素があるか...①インセンティブ②リアルタイム③不確実性④ヒエラルキー⑤コミュニーケーション


3M(儲けたい・モテたい・認められたい)の3つが欲望としては特に強く、これらを満たすようなシステムは急速に発展しやすいです


ビットコインが他の学術的な思想とも、ただの新技術とも違うのは、この経済システムに参加する人々が何をすれば、どういった利益が得られるか、という報酬が明確に設計されている点です


お金や経済といった社会学的な分野が、人間の脳という生物学的な分野につながっていたことには衝撃を覚えました


快感は他人との比較によって高まる


金銭的な対価を一切求めずに、経済システムを作ろうとするとゲームに近づいていく


経済が自然に似ていたからこそ、資本主義がここまで広く普及した


中央に代理人がハブとして介在する必然性はなくなり、全体がバラバラに分散したネットワーク型の社会に変わっていきます


トークンは...現実世界のアセットと結びつけることで、あらゆるものの価値を可視化することができます


「自動化」と、ネットワーク型社会に移行することで起きる「分散化」という2つの大きな流れ


「自律分散」というコンセプトが、多くの産業のビジネスモデルを覆すことになる


経済は住む対象ではなく「作る」対象に変わりつつあります


経済圏をどのように回していくかというノウハウこそが重要な時代に変わっていくと考えています


お金が価値を媒介する唯一の手段であったという「独占」が終わりつつある


価値を最大化しておけば、色々な方法で好きなタイミングで他の価値と交換できるようになっていきます


こういったものは現在の財務諸表には一切反映されません


「価値」を中心とした世界にかわっていくことが予感できます


「注目」や「関心」に過ぎないものが、「評価」や「信用」という高尚な概念に「すり替わっている」ことに違和感


これからはソーシャルキャピタルを増やすのに長けた人も大きな力を持つようになる


現在の資本主義経済ではうまく居場所を作れない人も、全く違うルールで回るオンライン上のトークンエコノミーでは活躍できるかもしれません。


かつては...リスクマネーを供給したのはベンチャーキャピタルでしたが、今は仮想通貨によるICOがその役割を担いつつあります。